「Classical Dandy」 Robert. E. Bryan in New York
HUGE 09年11月号
(冒頭一部紹介)
目まぐるしくトレンドが移り変わる現在のファッションシーンの中で、ひとつのスタイルを40年間貫き通すという選択は、常人にできることではない。しかし、ファッションジャーナリスト兼スタイリストというトレンドを追い続けなければならない環境に身を置きながらも、常にヴィンテージのクラシックスーツに身を包む、業界きっての伊達男ロバート・ブラウンにとって、それはさして難しいことではない。
「クラシックが最も上品で美しい。なぜ人がTシャツとジーンズに甘んじていられるのか理解できない」とロバートは言う。スリムで長身、隙のない完璧な身なり。「NYタイムズマガジン」のメンズファッションディレクターに「W」や「DNR」のメンズエディターという華々しい経歴を持っているにも関わらず、彼には気取ったところがまるでない。あくまで自然体の紳士だ。
彼のクラシックスーツ歴は1970年に遡る。ワシントンDCのロースクールを中退し、ニューヨークの百貨店で働き始めて2年が経った頃、誰もがヒップハガーのジーンズをはいていたその年に、ロバートはフレッド・アステアやゲイリー・クーパーの30年代映画に魅了され、古着屋で購入した30-40年代ヴィンテージスーツを着始めた。「当時はNYでそんな格好をしていた人なんてほとんどいなかったし、若かったからね、人と違う格好をして驚かせることが楽しかった。それに、とにかく安かった。デッドストックのスーツが7ドル、パンツなら2ドルで買えたんだ。」以来、ロバートは現在に至るまでそんなクラシックスタイルを貫き通している。