「日米の激闘 カジュアル衣料マーケット」

商業界 2005年11月号

shogyokai0511

(冒頭一部ご紹介)

9月15日、ニュージャージー州エディソンにあるメンロ・パーク・モール内にユニクロ1号店がオープンし、念願のアメリカ進出を果たした。続いて、同29日に2号店のロッカウエイ・タウンスクエア・モール内、そして10月20日にフリーホールド・レースウエイ・モール内に3号店がオープン。当面はこの3店舗の様子を見、成功可能性が見えれば急ピッチで全米展開を進める予定だという。

ユニクロ各店が入居しているモールはニューヨーク市内から車で1~2時間程の所に位置しているが、交通の便が悪いこともあり、州をまたいでニュージャージーのモールにわざわざ出かけるニューヨーク在住者はほとんどいない。よって、ユニクロ3店舗は、ニュージャージー州に住むモール近郊の住民をターゲットとしている。競合となりうる欧州ブランド、H&M、ZARA、Mexxは皆、店舗自体を広告宣伝と看做し、全米や世界中から観光客が集まるニューヨーク5番街にショップを構えているが、最近は、アバクロンビー&フィッチの姉ブランドである「ルール」や、ギャップ社の新ブランド「タウン&フォース」のように、ニューヨーク市内に出店する前にニュージャージーでテスト店を展開する小売店も多く、ユニクロもそれに追随する形となった。

ユニクロは、オープン前の広告宣伝として、ニューヨーク市内に9月1~30日までの1ヶ月間限定でポップアップストアを出店している。場所はニューヨークのファッション中心地ソーホーと、若手ブランドが軒を連ねるノリータの間。目立つ場所ではないが、周りには、トリプル・ファイブ・ソウルやスプリーム、デニムのGスターなどストリート系ファッションブランドが並び、感度の高い人達に口コミで広まりそうな好立地である。

出店したのは、以前「VICE」というストリート系男性から支持を得ている雑誌から生まれたセレクトショップがあった場所であり、ショップ名を「Uniqlo @ VICE」としている。VICE編集者達には店頭に置く商品の選択などを協力してもらったという。22坪程の店舗は一般的なユニクロショップと比してはるかに小さく、カシミヤセーターやジーンズ、スエットパーカーなど、少数の定番アイテムが並んでいるだけであったが、平日にもかかわらず客数は多く、商品を購入していくアメリカ人客も多かった。

ポップアップストアの目的はあくまでも販売促進であり、テレビCMや看板広告を出すよりも安いという理由で展開を行ったため、売上は気にしていないと言う。当然注目度はその分低くなるが、1ヶ月限定とはいえショップの存在がソーホーやノリータに来る若者の目に留まったのか、ストリート系の若者が情報交換を行うウエブサイトでは「ユニクロのジーンズがいいらしい」「ユニクロはどこにあるのか」といった情報交換も行われていた。

一方、メンロ・パーク店ではオープン前キャンペーンとして、・・・